もう日が暮れたよ山頭館

気が付けば色々なものを作り自分で適当に満足してきた。これからも隙をみてはモノを作る。これはモノ好きの記録なのだ。

ありがたい 命拾いした

タイヤ交換

軽トラを車検に出した時タイヤのひび割れを指摘された。溝自体は残っているが、よく見ると確かにヒビが入っている。走行距離は少なくても、タイヤが古いと経年劣化でこのようになってくる。

これから寒くなるので、ダンロップの冬用スタッドレスタイヤに交換することにした。

今までほとんど自分の車は自分で交換してきたが、廃タイヤの処分に困るので販売店で交換したほうがよさそうな気がしないでもないが、面白いからするのだ。

古いタイヤを外し新しいタイヤに組み替える。この作業までは20分もあれば終了するのだが、空気入れるエアーバルブも新品に換えたかったので、近くのイエローハットに部品を買いに行く。しかしその部品の販売するモノは無いと言われた。入り口が見えない程タイヤは展示してあるのに、パーツだけは売ってくれなかった。仕方なく手袋の片手からでも売ってくれる「ハンズマン」まで足を運び1本105円で2本買った。

実はこの後の空気を入れてホールの淵にタイヤがパッカーンと入るまでが一勝負になる。コンプレッサーの容量がさほど大きくないので1回で入る時もあればあの手この手で吐きそうになるほど苦労することがある。今回が苦労するパターンでタイヤとホイールの間にタオルやビニールを巻いたり周りをロープで縛ったりと、あらゆる知恵を絞り何度も試したが、空気が入らなかった。ネットで方法を調べたらさすがに同じ思いをした人たちが多く、スプレー爆発方式やチューブ挟みこみ方式などYouTubeにあったので、チューブで入れ込むことにした。

古い子供用自転車からチューブを取り出しタイヤとホイールの間に挟みこみ空気を入れる。確かに空気は入るが、タイミングの取り方が浅田真央トリプルアクセル並みに難しい。早くチューブを外すと空気が抜けるし、遅くなるとチューブが挟まれ取れなくなってしまう。1本目は2回目に入ったが、2本目は30回位かかってしまった。

2本1時間で終わるつもりが、トータルで随分時間が掛かった。ホイールバランサーを作り、タイヤのバランスまで取ろうと思っていたが、疲れて次回に回すことにした。

スマホケース

最近、ネットで買い物をすることが多くなり宅配便が増えてきた。知らないうちに不在表が入っていたりするので、以前から宅配ボックスの制作を考えていた。

出来上がるまでとりあえず、コールマンの古いクーラーボックスで対応していた。

とにかく今から作るものが目白押しで、作業場上のセメント打ち、貯蔵庫下野の屋根交換と、どれに取り掛かるか迷っていたら嫁の携帯ケースがあまりにもみすぼらしくこちらを先に作る事にした。

孫が張ったシールの周りはボロボロになっており、いつ壊れてもおかしくない状態だ。

以前、町のクラフト教室で作り方は教えてもらったので、早速先生の作業場を訪ねて厚みのある革を買ってきた。スマホの型を取り、作業を進めていたのだが、ボロボロの状態はスマホだけでなく自分の体でもあった。

済生会病院

毎年12月頃人間ドックを受診していたので、今年も済生会で受ける事にした。我が家から1時間10分位かかるので朝早くから渋滞を抜け、受付からいつもの受診コースで各項目進んでいった。心電図の所で、いつものようにタコの吸盤みたいなものを横腹に付けられその冷たさに「ヒャッ」といいながら横たわっていると、いつもより検査に時間がかかり困ったような顔で「今どうもないですか」と聞かれた。「今はどうも無いけど逆流性胃炎があり時々胸やけはありますと」答えた。

結果はその日のうちに判り、午後からの説明で先生から「心筋梗塞」と言われた。我が耳を疑ったが、心電図のデーターを見せられ心臓の真ん中あたりが動いてないとの事だった。「結果と主治医当てに手紙を送りますので、早く精密検査を行い治療が必要です」と言われたが、そんな時間的余裕はあるのかと思った。先生の右足にすがり「お願いしますから、今からでも精密検査をお願いしますだ」と嘆願しようと思ったが、長年人間ドック受診の実績もあり、検査治療を済生会で調整してもらう事となった。

命拾い

その後精密検査までの期間が1週間、治療までの期間が4日間とこんなに病院に行く時間が待ち遠しかった事はなかった。普通なら「宅配ボックス」も「スマホケース」もとっくに終わっているところだが、心配事を抱えての憂鬱な毎日だった。

造影検査及び治療については1泊2日の短期間入院で、うまくいけば別府の湯けむり温泉巡り位の時間で済むのだが、何分心臓の中の治療であってとても冗談を言える気分では無かった。午前10時に入院し、やや遅れたものの午後2時半からの手術スタートだった。

手術室に入ると、業務用のエアコンみたいな大きさの機会がいくつも体の周りに来てぐるぐる回ったり、ゴツンゴツンと音を出したり準備運動でもしてるかのようだった。

胃カメラの時でさえ麻酔があるので術中は、少し位ボーッとなるかと思いきや、カテーテルを入れる部分の局部麻酔でそれに部屋も寒いし「何をされるのか」と怖いのも合わせ、意識は120%ギンギンだった。

先生と時々会話しながら手首からカテーテルを入れて行く。こんなものが心臓の中をあちこち入って行くかと思うとそれだけで不安がこみあげてくる。造影剤を流して検査した結果、やはり血管の詰まっている個所があり、そこを治療しステントを入れるとの事だった。只、やや難しい場所なので足の根元からカテーテルを入れなおすと言われた。もうこの辺では「ハイワカリマシタ もうなんでもおっしゃる通りにお願いします」と言うしか力が残って無かった。

2時間30分程で治療は終わりロボットアームが静かになったところで、ベッドに乗せられたまま病室に戻った。手術室を出る時治療して頂いた先生から「髪の毛1本程の穴から少しだけ血が流れていました、完全に詰まっていたら状況は随分変わります首の皮1枚でした」と言われた。

普通心筋梗塞は救急車などで運ばれてくることが多く、このように検査で分かったのは珍しいとの事だった。今まで2か所の医者から「逆流性胃炎」と言われ、のんきにも夏の草刈りや、逃亡するミツバチの追いかけ等、度重なる胸の発作に耐え生きてきたかと思うとぞっとするが、いくつかの運に恵まれ大事に至らなかった。今まで宝くじには当たらなかったが、この日のために運の貯金があったのだろう。

退院したばかりだが、徐々に体を慣らし1週間もすればモノ作りに復帰できる。来るとき済生会病院は快晴で心は暗かったが、帰る時は小雨交じりの天気でも心は随分と晴れやかになった。